ごくごく普通の社会人読書ブログ

「いいこと読んじゃった」ってなってくれたらうれしいです

#3 『終わった人』を読んだわい

終わった人

 

作者 内館牧子 講談社

 

内容

終わった人

なんとも恐ろしい言葉だろうか。

終わった人 とは 社会の第一線から退いた人

つまり 定年を迎えた人 のことを指している。

 

この小説は、大手銀行に勤めていた田代(主人公)が

出世ルートを外れ、突如として子会社に飛ばされるところから始まる

 

そして、田代は定年を迎えたと同時に

今まで社会で生きてきた世界とのギャップにプライドが許さず

いわゆる「余生」を謳歌できずにいた。

 

やがて、

余生」を謳歌するべくジムなどに通い始めるも、

仕事をしていた過去に囚われ、毎日憂鬱な日々を送っていた。

 

そんな中、田代の人生を揺るがす人物に出会っていくなかで

田代が「終わった人」としてどのように余生を過ごしていくのか。

 

映画化もされているみたいなので

本が苦手な人は映画で楽しむのよいかもしれません

 

 

みどころ

 

これ、完全に田代のプライドの高さ。

定年退職した同年代に対する

「自分は周りとは違うんだ。」というプライド。

 

こうもプライドが高い人もいるのかと

驚く一方、自分もあり得るかもしれないなと

 

いま、働いている方々には

「自分が定年を迎えたら」といった視点で読むと面白いと思う。

 

感想

この小説を読了し、新たに考えるようになったことは

いわゆるこの現実世界で定年退職した人たちが

どんな気持ちで毎日を過ごしているか。そして、「余生」ってなんだということだ。

 

少なからず、この小説のように

自分の立場を受け入れられない人もいれば

「余生、最高」と心意気、旅行や趣味に没頭する人もいるであろう。

 

そして、この小説にも記してあったが、

余生」という言葉自体がおかしいものだ。

余りの人生ってなんだろう。

こんな言葉が存在するせいで、いらないプライドを生んだり

若者にへんな気遣いをしてしまう人も出てきてしまうのだろう。

 

なぜ、人生の中で「定年」を迎え、定年退職をすると「余生」になってしまうのか

あまりにも仕事を軸に人生を生きさせすぎではないか。

 

そして、この小説では幾度とこの言葉が登場する

散る桜 残る桜も 散る桜

 

いずれみんな死んでしまう

どんだけ仕事頑張って、出世したって、仕事のために生きたって、

どうせみんな散ってしまうんだ

 

だったら楽しく生きたほうがいいんだ

どうせ死ぬんだから

 

そんな考え方もありだなと思わせてくれる作品でした。